ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

ドルオタの時の話

別に誰かに何かを伝えたい訳でもなく、ただ何となく少し昔の話をしたくなった。ちょっと文が散らかってるかもしれない。

 1年くらいアイドルのオタクをしていた。毎週のように無銭ライブに通い、月に1回3000円程払って定期ライブを見て、有り金の殆どを握手券に注ぎ込み、推しと話す事を生き甲斐としていた。

中高を男子校で過ごした僕にとって生身の女性と握手をする行為がどれだけ非日常的であったかは言うまでもない。周りのオタクに『アイドルって手の届かない存在だからこそ良いよね…』とか宣いながら、完全にガチ恋していた。

部活と勉強に塗れた高校生活を送っていた俺から見た趣味の世界は、余りにも楽し過ぎた。仲良くなったオタクとライブ後に公園や道端で酒を飲みながら色々な事を喋ったし、ライブ中はコールmix推しジャンオタ芸口上振りコピ、やってて楽しい事は何でも覚えてやってた。ライブ会場の一番後ろは縦横無尽に駆け回る俺の為のスペースだった。

右も左も分からずに飛び込んだアイドルの世界が何故か地下ドルだった。メジャーアイドルに不思議と興味は湧かなかった。自分の推しの居るグループこそが自分にとってアイドルの世界の全てだった。

 ただ、自分の視野がめちゃくちゃ狭かった分、飽きるのも早かったように思う。ライブの動員は常に200人程度で、いつもライブに来ているオタクに顔は覚えられるし、今よりもコミュニケーションは苦手だったし、推しにTwitter見てるって言われたり…。兎に角、人と人との距離感がめちゃくちゃ近くて、居心地はハッキリ言って良くなかった。や、その近さは裏を返すと地下ドルの良いところでもあったんだけどさ、精神的なコストが大きくて俺には耐えられなかったなぁ…。悪口みたいになっちゃったね、すまぬ。

飽きたから色々と辞めた、ライブに通うのも、ライブで声を出す事も。距離感も自分で調節するしかないって気付いた。

 ライブを楽しむ為の術*1を沢山身に付けてきたけど、次第に虚無感を覚えるようになった。それらの行為って本当にライブの楽しさの根本にあるのかなぁ…と考えていた。ライブで感じる楽しさの本質は、演者から享受される部分にこそあるのかもなぁ...って強く思うようになった。

 

そんな俺が"心"一つでライブを楽しめるAqoursと出会うのは、もう少し先のお話。

*1:コールmix推しジャンオタ芸口上振りコピモッシュサークル等