ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

ラブライブ!サンシャイン!! 2nd Season 総括感想

 

皆さんこんにちは、きういです。

サンシャインの2期も終わりを迎え、自分の中で感情の整理もある程度つき、こうしてアウトプットすることで自分が何を考えていたのか、また何を感じていたのかを言語化、及び可視化したいと思い、今回こうして筆を執った次第であります。

 では早速本文へ。

 

 結論から言うと、サンシャインの物語は次の2つのキーワードに沿って描かれたと感じた。

 

1. 夢は消えない

ここで言う『』とは""将来の夢""のようなニュアンスではなく""叶えたい願望""のような意味に取れると思う。

1話のEDから歌われていた『夢は消えない 夢は消えない』と言う歌詞、そのメッセージは13話が終わるまでサンシャインのストーリーの中核に位置し、ずっとブレることなく存在していた。

諦めずに頑張って、足掻いて足掻いて、それでも叶えられない願いがあった。Aqoursにとっての廃校問題や、Saint Snowにとってのラブライブ!北海道予選だ。

今しかない 瞬間だから。

- 1期3話 高海千歌の台詞より引用 -

 「この瞬間は今だけだ」ということを分かっている千歌だからこそ、統廃合のような決して覆ることの無い決定・取り返しのつかない事態に対して、より一層悲観的になってしまうのだろう。

また、Saint Snowも同様にこの先どれだけ足掻こうとラブライブ決勝のステージに立つという夢を叶える事は出来ない。叶えられる可能性は万に一も無くなり、『』は完全に潰えてしまったことになる。

次のチャンスなど無い、そんな事をマジマジと突き付けてくるサンシャインの物語はめちゃくちゃ重く、また苦しくも感じた。

その後、Aqoursは浦の星の生徒に、Saint SnowAqoursにそれぞれ救われることになる。

 

 夢破れた者は、また別の『』を見付けることでしか救われない。これが『夢は消えない』の意味だと、僕は感じた。

 

2. 次の場所へ向かう

7話の廃校決定を区切りに、挿入歌には『次の場所』を仄めかす表現が現れた。特に、WATER BLUE NEW WORLD はこのことを執拗に歌っていると感じる。 

悔やみたくなかった 気持ちの先に
広がったセカイを 泳いで来たのさ

Aqoursは夢を叶えられなかった存在であり、Aqoursの夢は浦の星の生徒から与えられたものである。""広がったセカイ""とはAqoursに与えられた夢が見せた新しい世界であると感じた。Aqoursにとって、このラブライブ決勝のステージはもう既に『次の場所』であった。

 

MY NEW WORLD
新しい場所 探すときがきたよ
次の輝きへと海を渡ろう

どストレートな歌詞。

恐らく、ラブライブが終わった後Aqoursとして残された6人は次の夢を探すのだろう。それはまたスクールアイドルをすることかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

ラブライブで優勝し夢を叶えたAqours、だけどその事実をはしゃいで喜ぶような描写はそれ程多くない。夢を叶えることはとてつもない達成感を味わえるかもしれないが、""夢を叶えること""は、同時に""夢が無くなること""でもある。そして、夢が叶おうと無くなろうと、未来から振り返った時には両方とも輝いて見えるのだろう。 

 

9話で理亜はAqoursとの活動を通してスクールアイドルを続けると言う新しい願望を胸に抱き聖良の元から旅立って行った。Aqoursの3年生もまた、10話でそれぞれの道へ進むことを明かし、13話では実際に内浦と言う場所から居なくなった。

 新しい夢を探すため・叶えるため、次の場所へ向かわないといけない。『夢は消えない』『次の場所へ向かう』この2つの言葉は一見違うように見えて、実は似たようなことを言っているように思う。

こうして具体である物語の展開がある抽象的な言葉、所謂""テーマ""に収束していく様を見るのはとても気持ちいいし、好きだ。(無論、それは僕の捉え方とさじ加減次第だが)

 

 

  • 好きなシーンを語る

 良い話を描くことが面白いアニメの条件かと問われたら、僕は首を横に振るだろう。良い話は力強い映像と共になることでアニメとして真価を発揮すると考える。

サンシャインのアニメは力強い映像の宝庫なので好きなシーンは沢山あるのだが、長くなるのは避けたいので、特に印象的なシーンを挙げる。

お話として盛り上がったシーンより、力のある映像の方が僕の琴線に触れるので、少し変わったチョイスかもしれないが、お付き合い願おう。

 

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 1話の劇中のバスとEDの対比、いきなり1話から度肝を抜かれた。

諦めたくない』と言う結論を出した1話の内容を受けて、『諦めなきゃいいんだ』と歌う。バスの中で思い悩むシーンとは対照的に、バスの中で笑顔で手を振る映像を作る。辛い現実に挫けそうになるけど、前を向いて歩こうと決めた直後にAqours皆の笑顔を見ることが出来る。流石に泣かない訳が無かった。

このED、最早1話の挿入歌的なポジションにあるのではないか?とまで僕は思った。

 

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 5話のアバン、めちゃくちゃ好き。このシーンは1周目と2周目で映像の捉え方がまるで違ってくるのが本当に面白いし、好きな理由でもある。

1周目と言っても特に傘が風に飛ばされてんな〜くらいにしか思えないシーンなのだが、5話を見た後にこのアバンを見返すと『本当に見えない力が働いてるんじゃないか…?』と思える。

同じ映像なのに、2回目を見た時に1回目とは比べ物にならないくらいに心を動かされる、そんな視聴体験を味わった時に僕は『アニメって面白ぇなー!!!』と思う、このアバンにはそんな力強さがあった。

 

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8話から2枚引っ張ってきた。

上の1枚は明暗の対比がキマってて凄く好き。Aqoursの中で唯一理亞の気持ちに気付いてるルビィの思いを浮き彫りにしてるのが最高だ。

下の1枚は雰囲気がとても好き。ルビィと理亞が目を合わせた直後のカット、まるで一瞬時が止まったかのような雰囲気がこの1枚の絵から溢れ出てくる。

不気味なまでに整頓された生活感のない部屋、電気は点いていなく、雪の降ってる外界から入ってくる光だけが部屋を照らす。中途半端に薄暗くて目に入ってくる光景すべてが色褪せたように見える、そんな空間がこの1枚に凝縮されている。

 

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少し飛んで13話のこのシーン、初めて見た時によく分からないけど凄く感動したのを覚えている。

何と言っても絵が綺麗だし、自分が内浦を実際に訪れて見た鮮やかな景色がそのまま画面に落ちてきたような美しさがあった。

8話から拾ってきた2枚からも分かるように、サンシャインは明度・彩度を巧みに操って画面を演出してくる。辛いことや悲しいことに直面して、それでも前を向いてもがき続けるサンシャインの物語は全てが明るく楽しいわけでは無かった。だからこそ、ラブライブや閉校式を終えた後、この底抜けに明るい1枚の風景が僕の心に与えた感動は計り知れない。

 

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 11話のラストシーン、ここもサンシャイン屈指の名シーンだと思う。

まず何とも言えない表情をしてるのが凄く良い。泣いてる訳でもなく、笑っている訳でもない。だけど、その表情には確かな優しさが宿っていて。まるで、学校の死にゆく姿を優しく看取ってあげてるような、そんな表情が堪らなく好きだ。

 ゆっくりと静か燃え尽きていく木材、9人と内浦に生きる人を映しながら、最後は画面が少しずつブラックアウトしていく。ここから生み出される余韻はとんでもなく大きかった。

 燃え尽きていく炎は、『廃校を阻止したい』というAqoursの叶わなかった夢の灯火が消えていくようにも見えたし、Aqoursが『学校は無くなる』と言う直視したくない現実を少しずつ受け入れていく様子にも見えた。

 

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9話のライブパート、Awaken the power。

実はこの瞬間が1番好きだったりする。『次はどこへ行こう?』の歌声の後に、カメラは路面電車の窓を越えて街路樹の方へ向かう。ゆったりとしたメロディに合わせてカメラは移動して、力強いシンバルとギター音と共に街路樹に明かりが灯る、完璧な音ハメ映像に脳汁がドバドバ分泌され、鳥肌が立ち、目から涙が溢れる、サンシャイン特有の変化に富んだ派手な画面作りが大好き過ぎる。

キャラクターが踊る姿よりも、それを輝かせる為の舞台装置に目がいってしまう僕はもしかしたら人の心がないのかもしれない(?)

 

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12話のライブパート、WATER BLUE NEW WORLD。サビ前であるこの瞬間が最強だ。サンシャインが作り出す映像の中で1番と言っていいかもしれない。俺はこんな映像が見たかった。いつの間にか画面に没入させられ、有無を言わさず全力でブン殴られ続ける感覚を味わったのは久々だ。お話は勿論大切だが、画面を見ているだけで圧倒され、気圧されて、思わずたじろいでしまい、訳も分からず泣かされてしまう、そんな作品が大好きだし、それを実現出来るのが""アニメの力""だと僕は思う。

振り付けとカメラワークがバチクソ噛み合ってるのは最早言うまでもない。

梨子を中心に、他の8人がまるで梨子の心を解き放つかのように周りに広がっていくフォーメーション変化に合わせてカメラはめちゃくちゃなスピード引いていく、引いて引いて引いて引いて…一面が青い世界になったと思った瞬間からの、ダメ押しの一手。目に映るのは1期1話の街頭モニター、さっきまでラブライブ決勝の会場に居たはずでは…?となり思考が吹き飛ぶ。ここまで僅か2秒、この2秒間だけで僕はラブライブ!サンシャイン!!という作品に対して1000000億万点付けてしまう。

 

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13話のライブパート、WONDERFUL STORIES。

思い出からは 流れるメロディー

新しい夢が 聞こえる

 この部分がめちゃくちゃ好きだ。音楽という物は、自分の思い出を刻み込むことで徐々に肥大化していくアルバムのような側面があると思う。僕たちは曲を聞くことで過去にライブで感じた感動の片鱗を思い出すことが出来る。それこそが『思い出から流れるメロディ』なのではないだろうか。

 『き・こ・え・る!』の部分は映像が強い。歌詞と振り付けとカメラワークの3つの要素がこれまた噛み合って襲い掛かってくる。『き・こ・え・る!』の一音一音ごとに違うポーズをとる振り付けはリズミカルだし、カメラワークはそれに合わせて千歌に向かってカメラが寄る、カメラの寄り引きで音ハメしてるのが最高に気持ち良い。

 

  • 最後に

 3rdライブの当落も発表され始め、ずっと遠くにあるものだと感じていた3rdライブまで、もう4ヶ月もないことを実感すると

 こうして時って 進んでいくんだね

 と思わざるを得ないし、この気持ちから来た少しの焦りが、今回この記事を書くモチベーションに繋がった。

 

自分の考えを可視化出来たは良いけど、前半の抽象的な話を見ると、まだまだ自分の読解が甘いかもしれないと感じる部分も多々あって不完全だなと思う。ただ、今この瞬間『ラブライブの記事を書きたい』って衝動があるうちに書かないと一生書かない気がしたのでこのまま上げてしまう、すまんな。

後半は前半に比べたら書きやすかった。サンシャインに限らず、アニメの話の解釈に気持ちが向かいすぎてる人に、""映像の力強さ""という概念が芽生えてくれたら、こんなに嬉しいことは無い。

 

じゃあ僕は、Aqours 3rd LoveLive! Tour ~WONDERFUL STORIES〜 で待ってるから。

 

            written by きうい.