ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

無表情の璃奈ちゃんも可愛いんですけどね ~虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第6話とこれまでのインプレッション~

kiui-4.hatenablog.jp

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第6話を見ました。いやここまでで一番面白かったです。今回はお話も然ることながら、特に演出/絵コンテが光ってました。EDには京極尚彦さんの名前があり、これには納得。見返すと既視感のある構図や演出も随所に見られ、京極絵コンテの手癖が感じられて楽しかったです。

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璃奈ちゃんボードの誕生に纏わる話はやはり良いものでした。Aパートではレッスンを頑張ったり、同好会のみんなと仲良さげに遊ぶ描写が多くありましたが、璃奈ちゃんの表情の固さだけはどうにもなっていないと分かってしまうことに、何とも言えない辛さがありました。恐らく、私が璃奈ちゃんの『変わった』という言葉を信じられない事こそが、今まで璃奈ちゃんが沢山の人々に誤解されて生きてきた事の証明なのでしょう。

璃奈ちゃんボードは、璃奈ちゃんの本当の気持ちを誤解なく伝えるられる道具として登場しました。同好会のみんなとダンボール越しでも本音のやり取りが出来たこと、ダンボールごと抱きしめてくれた愛さんの行動、璃奈ちゃんにとっては救いに他ならなかったと思います。ここは物語的にも示唆に富んでいて非常に面白かったです。

もう一つ良かった点を挙げるなら、『1人のステージをみんなで作る』という6話の構造です。ライバルであり仲間である、という虹ヶ咲のコンセプトを地で行く話だと思いました。舞台袖で璃奈ちゃんに璃奈ちゃんボードを掛けてあげる侑ちゃん、『頑張れ』と想いながら璃奈ちゃんをステージに送り出す同好会のメンバーの姿に涙が止まりませんでした。ライブでは田中ちえ美さんが自己紹介の途中で舞台袖に一度捌けて、璃奈ちゃんボードを装着してくる件がありますが、その一幕に少しだけ『高咲侑』ちゃんの存在を感じるようになりました。構内マッチングフェスティバルでは、ハイタッチで次にライブをするメンバーを送り出したり、ソロのトリを務める大西亜玖璃さんのステージを舞台袖から同好会のみんなで見守る場面もあり、6話のライブを現実で起こった出来事と重ねて見ている節もありました。もっと言えば、同好会のメンバー全員で璃奈ちゃんの家に押し掛ける展開は、2ndライブで田中さんが一足先にホテルに戻ったことを大西さんに心配されて、全員でホテルの部屋まで押し掛けられるエピソードとよく似ており、思いがけないところで重なりが生まれるなと思いました。

こういう、アニメの物語と現実でキャスト達が紡いできた物語を重ねてしまうことは、純粋なアニメ視聴からは程遠いとは思いますが、今の私から虹ヶ咲のキャスト達の歩んできた道を排除することは不可能に近いので、程々にやっていこうという感じです。

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1話~6話を通した話になりますが、まず通し見で受ける印象は『とにかくバラバラ』ということです。同好会が廃部→再び発足の流れに沿ってお話は進んでいますが、同好会メンバー各々の『誰の為に歌うか、何の為に歌うか』という軸がそれぞれ違います。ラブライブ!ではことりちゃんの『私たちはプロのアイドルとしては失格、でもスクールアイドルならやりたいって気持ちでやることができる*1』というセリフに象徴されるように、『自分は何がやりたいのか?』という問いかけが一貫して何度もあり、これがこの作品の、延いてはスクールアイドルの大事なところだと思っていた訳です。

しかし時は令和、ラブライブは虹ヶ咲、スクールアイドルの在り方は多様を極めます。更に言えば、それだけでなく各話ごとのテイストもかなり違った物になっています。実際にそこでライブがあったのかも分からない1話/5話、ジョイポリスでライブをした6話、屋上でライブは行われていたが、映像としてはPVを流していた3話、各話でリアリティラインが全然違っています。ここからは憶測ですが、1話ごとになるべく違う人に絵コンテを切らせて、各話の作風をバラそうとしてる雰囲気さえ感じます。

このバラバラ加減こそが虹ヶ咲という作品の在り方なのだろうと、時期尚早ではありますが一先ずこう思って、この先も見届けて行きたいですね。

 

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*1:意訳