ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選

今年もこの季節がやってきました。集計は今年もaninado様がしてくれています。感謝!

「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2021年中に公開されたものとします。

 

1. ワンダーエッグ・プライオリティ第7回『14才の放課後』
脚本:野島伸司、絵コンテ・演出:小林麻衣子


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美人は財布持たなくていいでお馴染みの川井リカの弱い一面を描き出す、作画による繊細な芝居が特徴的な回。リカが復活する展開からのダイナミックなアクションシーンは、リカの心が晴れた事をそのまま表現してるかのような気持ち良さがあり、自然と涙が出そうになる。『(母親のことを)捨てるけど、今じゃない』という台詞は、カウンター越しに描かれる母親との緩やかな断絶を物語っている。少しビターで切ないけど、リカと母親の関係に変化があったことが嬉しくもある、良い視聴体験だった。こういう30分に出会うためにアニメを見ていると言っても過言ではない。

 

2. IDOLY PRIDE第9話『もらった勇気を抱きしめて』
脚本:髙橋龍也、絵コンテ:斎藤瑞華、演出:福井洋平


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間違いなく今年はIDOLY PRIDEの年だった。正直11話も選びたかったが、10選に選んだのはストレートに心臓の話をしていた9話。

さくらの声が麻奈に似ているという噂がSNSで「麻奈の心臓がさくらに移植されてる…?」にまで発展するトンデモさこそあれど(寧ろそこが良いというものあるが)、長瀬麻奈の心臓に関わる話の本筋は非常に良く出来ている。さくらが麻奈の『歌ってほしくない』意志を知った上で、琴乃の為に song for you を歌ったという話運びからは、さくら自身の確かな意志を感じ取れる。いつも皆に明るい笑顔を向けてくれるさくらのグレーな過去にそっと踏み込んでいく演出の優しさが堪らない。2021年トップアニメーションの一角。

 

3. 装甲娘戦記#10『この世界のために?』
脚本:むとうやすゆき、絵コンテ・演出:元永慶太郎


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所謂「総集編」と言われる回だが、彼女達の行動や戦果を大人側の視点から振り返ることで、世界そのものや、置かれている状況をより立体的に描き出した傑作。

常に死と隣合わせの世界で繰り広げられる死闘と、そんな世界でも人が生きていく為には避けて通れない日常が地続きに描かれていることが本作の大きな魅力だと思うが、10話はその魅力をより強固にしてくれた。戦果を見れば一端の遊撃小隊だが、ひとたびLBXを脱げば彼女たちは普通の少女であり、寧ろ保護すべき対象であること。たとえ世界が危機に瀕していても、ラーメンは食べたいしショッピングもしたいこと。総理大臣や官房長官の居る場でネイトが言うと認識が改まる。

彼女達の修学旅行が終わってしまう寂しさを直接的に表現せず、第3者の視点から「時間ギリギリまで各地を観光する様子」と、観光中に撮った写真を通して描いた手つきは天才のそれで、総集編なのに何故か涙が出てくる不思議な回だった。

 

4. ウマ娘 プリティーダービーSeason2第10R『必ず、きっと』
脚本:米内山陽子・永井真吾、絵コンテ・演出:種村綾鷹


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ウマ娘からテイオーの復活回を選出。

「心が折れない限り負けない」というシンプルなストーリーと、それをテイオーの目の前で体現するツインターボの走りに、心をこれでもかと震わされる話。頑張るとはどういう事か、諦めないとはどういう事かが映像にギュッと詰まっており、その迫真の走りは見ているだけで目頭が熱くなる。とにかく映像の熱量が凄まじい回だった。

3度の骨折を経験して元のようには走れないテイオーに再び走ってほしいと願うのは酷な話かもしれないが、それでも、何度負けても、やっぱり諦めない奴しか最終的には勝てないのかもしれない。

 

5. やくならマグカップも第12話『明日への笑顔』
脚本:荒川稔久、絵コンテ:神谷純、演出:前田薫


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物作りアニメーションのやくならマグカップもから第1期の最終話をチョイス。

最初はただ楽しければ良かったけど、いざ審査される立場になると『自分もワンチャン賞が貰えるかも…』と期待してしまうこと。友達が賞を貰ったら貰ったで羨ましく思うこと。皆と居る時は悔しくない素振りをしてしまうこと。その悔しさが心のどこかにずっと突っかかっていること。姫乃の感情にはどれも飾り気がなく、等身大でリアルな感触があったのが非常に良かった。

お父さんにお茶碗を使って貰えなかった悔しさが、座布団を壊すこと、つまりどうしても座りたいと思わせた事で晴れていくのが綺麗で、座ってもらえたことが何よりも嬉しかったんだろうなと姫乃の気持ちを思うと自然と涙が出てくる素晴らしい話だった。

 

6. スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました第10話『吟遊詩人が来た』
脚本:安永豊、絵コンテ・演出:富井ななせ


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売れない吟遊詩人のククとブルードラゴンのフラットルテに焦点が当たる回。とにかく可愛い絵とキャラクター、リズミカルに進んで行く話は、全てが見る人を笑顔にする為に緻密に計算されているかのようで、退屈な瞬間が存在しないアニメに仕上がっていた。

ククとのやり取りを通して、フラットルテの吟遊詩人が好きでリュートが弾けたりする意外な一面だけでなく、聡明さや人情深さまでも描き出す話運びはまさにフラットルテ尽くしで、これを見て好きになるなと言う方が無理な話だろう。最後ククに「スキファノイアを捨てるな」と言い放つ場面は、インパクト抜群でありながら、フラットルテの優しさも不器用さも感じれる屈指の名シーン。

 

7. ラブライブ!スーパースター!! #01『まだ名もないキモチ』
脚本:花田十輝、絵コンテ・演出:京極尚彦


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ラブライブ!スーパースター!!が誇る最高の導入エピソード。

とにかくテンポ良く進んでいく話とキャラクターの可愛さは、もはや京極監督の専売特許。このアニメも画面を見ていて退屈な時間が殆ど無い。

唐可可ちゃんが良くデザインされており、キャラデザや片言の日本語で喋る可愛さに加えて、単身日本に渡る行動力を持っていること、かのんの過去を知った時には謝れる優しさも持っていることが画面からスっと頭に入ってくる。優しいが故にかのんをスクールアイドルに誘えなかった可可ちゃんが、「それでも」と思い誘うシーンにはグッと来てしまう。

30分の中で次々に移り変わるかのんと可可の関係性に引き込まれる1話だった。

 

8. カノジョも彼女第6回『ツンがデレ』
脚本:大知慶一郎、絵コンテ:桑原智、演出:波多正美


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萌え萌え異常価値観ラブコメディアニメであるカノジョも彼女の、ミリカが恋に落ちてしまう回。

このアニメはとにかく沢山嘘を付く。正々堂々二股する直也に、それを認めてる咲と渚。そんな3人が1つ屋根の下で暮らしていること。高校生巨乳Youtuberに貞操観念の終わっている親。どれも強めのフィクションで、共感という言葉とは程遠い。でもだからこそ笑えたりもする。

第6回はそんな嘘だらけの世界でふと描かれるミリカの虚飾のない感情の動きに唸らされる話。例に漏れず「二股してる男に告って振られたのが悔しいから、家に押しかけてベランダでテント生活を始める」という話の展開自体は、やはり嘘みたいで共感の欠片もない。ただ、自分のことを素直に認めてくれて、数年掛けて作り上げた努力の結晶であるYoutubeチャンネルを父親から守ってくれた直也を好きになってしまうミリカの感情だけは疑いようが無く、そこには一点の曇りもない。

フィクションの中にある「嘘ではない感情」に出会える瞬間の嬉しさが詰まったアニメ。

 

9. かげきしょうじょ第五幕『選ばれし乙女』
脚本:森下直、絵コンテ:森田宏幸、演出:安藤貴史


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奈良っちの髪が伸び萌えっちになる回であり、山田彩子のお当番回でもある。

小野寺先生が彩子の部屋の前で、独白に近い長尺の台詞を言うシーンがこの話の一番の見どころであり、特にその言い回しや言葉の選び方が素晴らしい。彩子の才能を見抜いて、その未来を見ている先生の「紅華歌劇団の舞台、グランドフィナーレは大階段を真っ先に降りてくる貴方のアカペラで始まるの」の一節は飛田さんの名演もあって、忘れられない名シーンになっている。また彩子の透き通った歌声をそのまま特殊EDにする構成も上手かった。

 

10. 無職転生異世界行ったら本気だす~第十七話『再開』
脚本:中本宗応、絵コンテ:長井龍雪、演出:髙嶋宏之


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2021年を代表するアニメの一つだったように思う。

2クール目は転移災害後の話で、それなりに重く、パウロにとっても相当辛い時間だったことが画面から窺える。生前を含めるとパウロより長く生きているルーデウスが大人の対応を見せる一方で、ダメ親父なりに謝ろうとするパウロの姿に心が揺さぶられる回だった。(ひげを剃る、そして息子と再開する)

16話で事実上は再開しているが、このエピソードをもって「再会」とするセンスが光っており、特にその再会のシーンは映像の間のとり方から音楽まで隙のないアニメーションだった。

 

番外編. 惜しくも10選入りを逃した作品

正直今年は10選を選ぶのにかなり苦戦した。どれも上に挙げた10本と遜色なく良いエピソードで、気分次第では全然10選に選んでいたと思う。

11. 女神寮の寮母君6話『孝士、コスプレデビューする』
12. チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア~第12話『異世界に作ろう!ドラッグストア』
13. トロピカル~ジュプリキュア第34話『夢は無限大!大人になったら何になる?』
14. プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~ epsode06『debut』

2021年は話数単位だけでなく作品単位で見てもかなり優秀な作品が多かったように思う。またアニメ映画もスタァライトやサイダーのような傑作も多く、充実したアニメライフを過ごせた。2022年も素敵な作品に出合いたい。