ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

2022.1.14 ペルソナ5が全然面白くなかった話

2022年一発目の更新がゲームの酷評なのは許してほしい。

先日ゲームショップでペルソナ5が1200円で売っていたので、暇潰しに丁度いいと思って購入した。かなり人気のシリーズらしく、レビューも高評価なので期待してプレイしていたが、鴨志田パレスが終わった辺りからは惰性でプレイし、60時間遊んだ感想としては「めちゃくちゃ残念なゲーム」となった。ストーリー、ダンジョン、ゲームのシステム、どれか1つでも良かったならここまで扱き下ろす事も無かったのだが、全てにおいて満足出来なかったのは想定外。ただ、面白くもつまらなくもない虚無のゲームよりは、めちゃくちゃ嫌いなゲームをする方が有意義ではあるので、そういう点では良かった。という訳で酷評していきます。

 

・ストーリー

多く言われているが、私も鴨志田パレスは良かったと思う。実際に自分が被害を受けているから、鴨志田に対して「絶対ぶっ飛ばしてやるからな…」という心情が生まれて、パレスの攻略にもモチベーションが保てるし、鴨志田が全校生徒の前で頭を下げて謝るというオチも納得出来る。そして何より、主人公たちが「鴨志田を殺してしまうかもしれない」という覚悟をした上で改心を行っていたのが格好よかった。自分の身を守る為に、相手を殺すリスクを侵してまでペルソナの力に手を染める必要があった。それが斑目以降はそのリスクが無くなってしまったので緊張感がない。巷では「改心」は「洗脳」とは違うと言われているが、相手の同意も無しに人格を変えてしまう事のどこが洗脳でないのか私には分からない。全編を通して自分たちが悪いことをしている(完全に悪とも言えないが、人の人格を書き換える事に少なからず疑問は抱くべき)、人殺しになる可能性があることに無自覚過ぎて見るに耐えなかった。竜司くんもう喋んないで?と何回思ったことか…。真っ先に改心させるべきは「怪盗を続けてチヤホヤされたい」という欲望を抑えきれてない竜司くんでしょ…。

あと目立つのは敵キャラを露悪的に描き過ぎていることだ。敵キャラを倒しても良い相手としか描かない事がこのゲームの限界を物語っていると言っていい。春のお父さんは娘にだけは優しくても良かったし、獅童の手腕は政治界には欠かせないものだったくらいの描写は欲しかった。それが無いから怪盗団の一方的な正義の押し付けがまかり通ってしまうし、自分達の行いに疑問を持つこともない。そこの葛藤を描けないから物語やキャラクターが単純化してしまう。明智くんがテレビで正論を吐いてる時はワクワクしたが、結局は明智くんを悪者にする事で「怪盗団は本当に正しい行いをしているのか?」という問いから逃げるのもズルいなと思った。

異世界を使って死亡を回避するトリックも正直「は…?」だった。フィクションなのでトリック自体に現実味が無いのは別に良い。問題はプレイヤーの知らないところで、実は全員が明智くんを疑っていて罠に嵌めようとしていたことだ。ゲームしていてこんなに疎外感感じることある…? 少なくともプレイヤー=主人公の構図が成り立っているゲームでするべき演出だとは到底思えない。これでは主人公と私の間にある心情の乖離が大き過ぎて全然ゲームに入り込めない。これをするなら最初から日常の中で明智を疑って、それを勘付かれないように立ち回るというのをゲームに落とし込んでほしかった。

 

・ゲームシステム

ネットで感想を漁っているとストーリーは微妙だがゲーム部分は良かったという声を聞くが、私としてはゲームシステムの部分も良かったとは思えない。悪かったと言うよりは、良い要素は揃っているのに全く生きてなかったという言い方が正しい。

まず1つとして人間パラメータがほぼ死にステータスだった事だ。人間パラメータは殆どコープレベルを上げる時の弊害としてしか機能していなかった。度胸があったら横入りしてきた獅童に言い返せるというのは良かったが、余りにもそういうシーンは少なかった。例えば、優しさが高かったら死ぬしかないボスキャラを生かすことが出来てルート分岐が起こるとか、器用さが高かったら敵の持っている鍵を戦闘をせずに盗めるとか、そうやって人間パラメータが生かせるシーンを作ろうと思えば沢山作れるけど、それが無いのは流石に期待外れだった。

あと不満なのは総攻撃やホールドアップだ。総攻撃自体はめちゃくちゃカッコイイ。初めて見た時は痺れました。ですが慣れてしまうとただの長い演出の全体攻撃にしかならない。おまけに中盤以降は総攻撃しても敵の体力は残る。折角のカッコイイ必殺技が勿体無いです。ホールドアップではとにかくボスキャラと話がしたかった。体力のある状態でホールドアップをしても余裕をぶっこいてたり、体力が少ない状態でホールドアップをすると懺悔を始めるとか、そういうのめっちゃ期待していた。敵ボスの体力が1になったら強制ホールドアップ→めちゃくちゃ言い訳や懺悔を始める→一頻り懺悔を聞き終えたところで一斉攻撃→カッコイイ演出でフィニッシュみたいのを想像していたので、使い方が下手だったなというのに尽きます。

1つ1つの演出が長くテンポが悪いところもとても嫌でした。このゲームはクリアまで平均80時間くらい要すると言われているが、正直その膨大なプレイ時間の中のプレイアブルな時間ってどれだけあったのだろうと思う。約半分の40時間くらいは画面見て○ボタンをポチポチする退屈な時間だった。基本的に放課後になるとキャラクターを操作できるらが、毎日のように電車に乗り登校し学校の授業を受けなければならず、一々挟まるロード画面と合わせて情報量の薄い画面を延々と見せられるのは苦痛でしかなかった。ミッションが終わってから次のミッションが始まるまでの時間はプレイアブルな時間がほとんど無く(ベッドで寝ることを選ばすくらい)、そんな事ならムービーを使うなりして物語をスムーズに進めてくれ…と思った。

 

・ダンジョン、音楽、UIなど

ダンジョンが長く面倒というのは当然として、マップが切り替わった途端に目の前にシャドーが居て見つかってDangerで戦闘に入るのだけは理不尽すぎてどうにかならなかったのかと思う。カメラの操作性、特に物陰に隠れている時にカメラが後ろまで回らないのも非常に不便だった。シャドーに見付かって逃げている時に扉や階段の見えない部分に引っ掛かって進めず追い付かれるのもかなり最悪だった。このゲーム悪いところしかないやん…。

音楽やUIは言われている通りオシャレで良いが、ここだけオシャレで中身が酷いのでハリボテ感が否めず、こんな事なら変に気取ってオシャレ感を出さない方が良かったのではとすら思った。中身が酷いのに音楽だけオシャレって逆にめっちゃダサいやん…という気持ちになったので、完全に裏目に出ていると思う。

 

と言う訳で終始「なんでこれが評価されてるのか全く分からん…」という感じでした。最悪なゲームだったので、「俺だったら楽しめるかもしれん…!」という人は是非手に取ってみてほしいです。