ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

ラブライブフェスに寄せる。

今でも覚えている。ラブライブとの出会いは2017年1月3日だった。当時、深夜アニメを片っ端から見ることにハマっていた僕は、ラブライブ!The School Idol Movie の再放送をNHKで見ていた。TVアニメのラブライブは全く知らなかったが、9人の物語が潔く終わっていく様に、僕は美しさと言い知れぬ面白さを感じた。

そこからは早かった。3日間でラブライブのTVアニメ全26話を視聴した。狂ったようにハマった。誰も居ない夜道で Snow halation を熱唱してしまうくらいハマった。アイドルのライブは大好きだったが、この時の μ's は既に半年以上前に活動を休止していた。

Youtubeで μ's Final LoveLive! の試聴動画を見ようとした。動画の冒頭、「ぼららら」のイントロ、迫り上がる舞台、ファンの歓声、映像を見た僕の心の中には羨ましさしか芽生えなかった。「何故自分はこの場所に居れなかったのだろう…」「ラブライブに見向きもせず何をして生きていたんだろう…」そんな後悔が心の中を埋め尽くしていた。結局、試聴動画は後悔と涙で20秒くらいしか見れなかった。この日から2年程、僕は μ's のライブ映像を見れなくなった。有り余るラブライブ!への熱量はラブライブ!サンシャイン!!への愛情と共に全てAqoursにぶつけた。

時が経った。今は2020年1月19日。僕は昨日 μ's を肉眼で捉えた。約3年前、試聴動画で見た「僕らのLIVE 君とのLIFE」と目の前に広がっている景色を少しだけ重ねながら、僕は声を張り上げていた。歌の節々に現れる「奇跡」という言葉を聞いては、μ'sが目の前で歌っている現実を一生懸命飲み込もうとした。TVアニメ2期9話のワンシーンを想いながら、掌から溢れんばかりのオレンジ色を僕は見つめていた。楽しくて夢のような時間だったが、未だに μ's を見た実感は湧かない。

周りの人間は口々に「おかえり」と叫ぶが、μ's を初めて目の当たりにした僕にとって、その言葉は全く縁のない物だった。どこまでも嵐のように過ぎ去っていった「μ's」という現実と、僕は今も睨めっこをしている。この感覚が実感に変わっていくのに、何年掛かるだろうか。多分、あと2年は堅い。