ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

2023.9.18 MyGO!!!!!の話

2023年夏アニメの雑感で書こうと思いましたが、ここだけで長くなってしまったので別で投稿します。

MyGOの1話を配信開始当時に見た時は、全編3DCGのアニメは作画特有の省略やデフォルメの表現が出来ないからあんまり嬉しくないな〜というのがあり2話から見ていませんでした。が、高尾奏音さんのバースデーイベントに行き色々な話を聞いたので見ようと思い、最終話の本放送が終わってから配信で一気に見ました。いや~~~、非常に良かった。久々にブシロード発の面白いアニメ見れて大満足……。

正直なところ2話からかなり感触が良くて、まずOPとEDがとにかく良い。アニメってOPとEDを好きにさせたらもう勝ちじゃないですか。良いOPって視聴者を物語や画面に対して真剣にさせる力があると思うんです。バンドアニメのセンターがボーカルだけやってたり、アニソンでは中々聞かないような歌声が響いていたり、目新しさとキャッチーさがあってアニメへの没入を手助けしてくれていました。

作品に対する印象として、物語よりも先にキャラが来るというか、キャラクターが生きてるアニメでした。それぞれに大事なものがあって、自分の生き方があって、それに従って全員が思い思いに行動することで物語になっていくタイプのアニメで、そこにあるのは生々しさでした。壊れてしまったものはもう元には戻らないし、あの頃の楽しかった日々をいくら追い求めてもそんなもの手に入らない…という残酷さがあって、傷付いたり悲しんだりするけど、悲しみは悲しみのままに受け入れて、心にしまって生きていこうとする、そんなアニメでした。豊川祥子が最後まで自身の身に起こったことを周りに打ち明けなかったことも、彼女の選んだ生き方であり気高さでもあり、人の人生に立ち入ることの難しさがあって、この作品の生々しさを象徴していたと思います。

高尾奏音さんが演じているというのも勿論ありますが豊川祥子というキャラクターがとにかく良くて、個人的にはこの作品の主人公の一人に数えてました。豊川祥子がCRYCHICを辞めてから始まった物語なのだから、最終話で豊川祥子がこの先何を思って、どう生きていくかが描かれるのは筋が通っていると思います。自分の作ったCRYCHICの元メンバーが集まって自分抜きの『春日影』を見せ付けられて、過去の楽しかった思い出さえ辛く塗り替えられてしまった少女から発せられる「我、忘却を恐れるなかれ」の言葉より悲しい言葉はそうそう無いでしょう。

ここからは声優オタク崩れの言葉ですが、豊川祥子を高尾奏音さんが演じたから出た味がかなりあったと思います。まず高尾さんが気高いタイプの、それも人に冷たい言葉を浴びせるお嬢様の役をやっていることにとてつもない嬉しさがあります。普段は見ない珍しい役柄だったのと、物語の雰囲気にもマッチした演技で正直この声を聞けただけで5億点でした。本当にめっちゃ良かったので、こういう役柄の仕事がもっと増えてほしいと思います。13話ラストシーンの「ただいま、クソ親父」を見た時は辛くて1分くらい「グギギギギ……」と声にならない呻き声を上げていましたが、演技とはいえ家族と仲良くて、なんなら1年ほど前まではお母さんに美容院に連れて行ってもらっていた人の口からこの言葉が発せられているのが信じられなくて、声優追いかけてる癖に初めて演技って凄い…と感動しました。回想シーンではカラオケのドリンクバーではしゃぐ描写があったりと、お嬢様のキャラを本物の(お風呂の栓を知らなかった)お嬢様が演じるから出る良さもあったりして、アニメ好きとしても声優の追っかけとしても十二分に楽しめたアニメでした。

高尾奏音さん…もっとこういう役やって下さい、最高なので…!