ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選!

一度やってみたかった。2018年のアニメも素晴らしい作品が多かった。前年は作品単位で書いた*1けど、今年は話数単位でやってみます。

 

・ルール
①2018年1月1日~12月31日に放送されたアニメを対象とする。
②1作品につき、1話を上限とする。
③順位は付けない。

 

 紹介の順番は放送日が早い順としてます。話数単位とは書いてますが、全体を通しての話もしていくと思うので、そこは悪しからず。では、始めます。

12/30 追記
ルールは大元の新米小僧様のサイトより拝借しました。また、他の参加者様のサイトもここにまとめられています。

「話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

 

サンリオ男子 2話 『雨上がりのギフトゲート』

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 「男がサンリオキャラを好きで何が悪いんだよ!」と好きな物を素直に好きと言える人と、周りの目を気にして自分の好きな物を自信を持って好きと言えない人の話。中学生の時におジャ魔女どれみが大好きで、それをほぼ誰にも話さずに過ごしてきた僕としては、他人事に思えない話だった。

 17歳の少年が持つ、好きな物を恥ずかしげ無く好きと言える人に対する嫉妬心は、僕の中にもあった。好きな物を好きと言うのは恥ずかしい事じゃないと背中を押されて、『ばあちゃんが!ポムポムプリンが大好きだ!』と康太が感情を爆発させるシーンは泣きながらに見てしまった。好きな物を好きと言いたいけど、言うことを躊躇ってしまう人に対する、エールのような優しい作品だったと思う。

 僕は今アニメ大好き人間をしているが、それをコソコソと隠さずに過ごしている(大っぴらにアピールしてる訳ではないけど)のは、間違いなくこのアニメに影響を受けたからだと思う。

 

ゆるキャン△ 5話 『二つのキャンプ、二人の景色』

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 なでしこは友達と3人で山梨市へキャンプに、一方のリンは1人で原チャに乗って諏訪湖まで行く話。この話が好きすぎて、実際に山梨まで聖地巡礼に行きました。普段はモコモコした服を着てたキャラ達が露天風呂に入ったり、美味しい物を食べてホッコリした顔を見せてくれるのが可愛くて好き。でも、この話はやっぱりラストシーンに言及をしないといけない。

 昼間、高ボッチ高原に1人で上ったリンが、深夜1時を回った時間に、なでしことLINEをしながら、もう一度丘を上がっていくシーンは涙無しに見られなかった。1人だけど、ボッチじゃないのが本当に良くて。隣になでしこは居ないけど、でも確かにインターネットを通じて誰かと繋がっていられる。そういう嬉しさを感じられる話です。なでしことリンの、ネットを介した近すぎず遠すぎずな距離感も好きでした。

 それでラストシーンは、なでしことリンが、それぞれの景色を眺めながら終わるんですけど、全く違う場所に居るはずの二人と見てる光景を1枚の画の中に収めてて、しかも二人の見てる景色に境界線は無くて。その境界線がない事が美しくもあって、やっぱりどこかで繋がってるのかもねっていう嬉しさもあって…。最高のアニメでした。

 

スロウスタート 10話 『サメのいとこ』

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『中だろうか!外に出すべきだろうか!』

『君が決めてくれ!中入れかァ!外出しかァ!』

『中に入れるべきか!外に出すべきか!』

『外だと垂れてしまいますので、中の方が…。』

-スロウスタート 10話 万年さんがドタバタする一幕より抜粋-

 いや、天才か? 洋服の裾をスカートの中に入れるのか、外に出すのかを悩む姿を、ここまで面白く描けるアニメを僕は知らない。絵柄のふわふわした雰囲気と、台詞の言い回しの随所に見られる少しの狂気って、何でこんなにマッチするんですかね…。そんなとても楽しいアニメだけど、話の内容は優しさがあって、そこも好き。

 1年の浪人を経て高校へ入学した花名、最初は浪人が周りにバレたら馬鹿にされると恐れてたけど、今はその秘密がバレる事で仲の良い友達との関係が変わってしまうのが怖くなっていて、仲の良い友達に隠し事をしてる後ろめたさと、別に友達だからって全てを曝け出す必要は無いと言ってくれる先生の優しさとの間で戸惑ってる。

 栄依子たちにとって、花名が浪人してる事は些細な問題かもしれないけど、花名にとってそれは大きな問題で、同じ問題でも人に依って受け止める重さが違うっていう、当たり前の事が当たり前に描かれているのが好き。結局、花名はアニメでは最後までその秘密を友達に打ち明ける事はなかったけど、「いつか話せるといいな」と言って、また楽しくも戸惑いのある日々を続けていくのが良いんですよ。また、そういう花名の心境を歌ったかのような歌がEDで流れるのも、綺麗で。焦らなくてもいいんだよって、作品に語りかけられているような感覚になる。

『ちっぽけな隠しごとをひとつ 参考書と一緒にカバンに詰め込む』

『ゆっくりと歩き出す 私の歩幅で』

『いつか小さな秘密 話せる日が来るよね 焦らず歩いてゆこう』 

-三月のパンタシア 「風の声を聞きながら」より抜粋-

 

宇宙よりも遠い場所 11話 『ドラム缶でぶっ飛ばせ!』

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 よりもいは、好きな話が多くてどれを選ぼうか迷ったけど、やっぱりこの話が一番好き。過去に自分を苦しめた人間が突然目の前にやってきて、その人を拒絶する話。『人を傷付けたのだから、そのモヤモヤした気持ちを背負ったまま生きていきなよ!それが私の友達を傷付けた代償だよ!』と、都合の良い人間に向かって許さないと言い放つシーンには、嫌な奴をぶっ飛ばす爽快感を感じつつも、自身の性格が悪いと自負している報瀬の優しさに目頭が熱くなる。

 最終的に人と人とが分かり合ったりする作品がある中で、人間関係をバッサリ切り捨てるという選択肢が許されてるこの作品は、稀有ではないだろうか。他人を拒絶しても良い、人を許せないって感情を持つのは悪い事じゃないんだと言ってくれる、それが優しくて大好きなんだ。小淵沢報瀬は一見サバサバしてるように見えるけど、実は誰よりも友達思いだし、好きな人の為なら身体だって張るし、どうでもいい奴の事はどうでもいいと思うし、嫌いな奴には嫌いって言う。性格が悪いと自負する事は、人として素直な事の裏返しのような気がする。

 また、『友達』に対して人よりも変に憧れを持っている結月が『友情じゃないですか~!』と言って日向に抱きつくのも、個人的にめっちゃ好きなポイント。結月ちゃんはね、可愛いよ。

 

 

HUGっと!プリキュア 11話 『私がなりたいプリキュア!響け!メロディソード!』

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 誰にだって平等に明日は訪れる。だから、人の明日を奪うような行為は許さないという理念の下で敵と戦うプリキュアキュアエール。敵と同じように、自分たちプリキュアにだって、誰かの明日を奪う権利はないから、エールは手にした剣でチャラリートを斬らない。

 敵であるチャラリートは、プリキュアを倒せない(=仕事ができない)自分に絶望していて、『俺は何もできない…何も持っていない…。』と自己嫌悪に陥ってしまう。この自分は何も持っていない…という感情にエールが寄り添って、抱きしめてあげるのが、11話での話。

 このエールの寄り添い方がとても優しくて。決して蚊帳の外から寄り添わないんですよ。自分は何も持ってない…という人の心に真に寄り添える人って、同じように自分には何もない…と真剣に悩んだ事のある人じゃないと意味がないと思う。エールは自分のなりたい自分を目指して日々を生きているけど、そういう強い意志があっても、自分を甘やかしちゃう時もあるし、なりたい自分から自身を遠ざけちゃう時もある。意志の弱い自分は辛いけど、弱くても大丈夫だと言ってあげる。だって、こんなに弱い自分でも笑顔で生きているのだから。

 蚊帳の外から誰かを応援する事の無責任さに切り込んだ話をしたHUGプリだからこそ、人の感情に優しく寄り添い、抱きしめることが出来るのだろう。この話は、自分は何も持ってない…と思う人の心を少しだけ、でも確かに元気付けてくれる話なのかなと感じた。

 

こみっくがーるず 4話 『くんずほぐれつランデヴー』

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 『さすがティーンズラブ漫画家さん…学校に行く時も常にイヤらしいことを考えて、気分を高めて…!』のような、かおす先生の台詞だったり、体育の授業で意図せず他の女子生徒を押し倒してしまったり、とにかくエッチな描写とギャグを常に両立しながら進んでいく話がとても好き。

 この話も勿論、エッチさやギャグの斬れ味はそのままにあるけど、30分を通して今の自分を愛せていない琉姫ちゃんが、自分を好きになる話に纏まっている。自分を好きになれない、詰まるところ自分に自信が持てない琉姫ちゃんが、鏡の前で約1分間、あーでもない、こーでもないと思い詰めるシーンが凄くて。息づかいとか、仕草の一つ一つが悲しさを帯びてるのが涙を誘ってくる。

 今の自分は昔に夢見ていた、なりたい自分ではないけど、そんな自分のことを好きだと言ってくれる人が沢山居るから、自分と自分の描いた漫画を好きでいる事にする。今まで経験してきた辛くて苦い思い出も、自分の事を好きになれた瞬間に、やってきて良かったと思えるようになる。琉姫ちゃんが報われて良かった…という思いで一杯になる、良い作品です。

 

ヒナまつり 6話 『新田さんの父親はダンディー

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 Aパートはいつものギャグが強めの話。『どんな生きものだって必死に生きてる…みんな友達なんだぜぇ~!』と言った直後に、アリの行列にビール掛けて殺そうとするアニメです。一転してBパートは、ホームレスとして色んな人と一緒に暮らしてきたアンズちゃんが、住んでいた公園を追われて、ラーメン屋に引き取られる話。落差があり過ぎる…。

 Bパートにだけ言及すると、かなり辛い話ではありました。みんなと離れ離れになるのも辛いけど、林さん夫妻に引き取られた時に、とても小学生くらいの少女とは思えない価値観を見せるのも結構辛くて。ホームレスとしてみんなと暮らし続ける事が、アンズにとっての幸せの一つの形である事は分かっていても、もう少し違う形の幸せを知ってほしいと、願わずに居られない。かなり複雑な気持ちになるけど、それが好きなんですよね。

 みんなとは別れてしまったけど、やっさんを始めとした色んな人から沢山の教えを貰っていて、そうして人に教わった事が自分の中に息衝いている限り、繋がっていられる。そういう、おじさんの優しい教えがアンズの中にも、このアニメを見ている自分の中にも根付いていく。きっとアニメから何かを教わって、その教わった事に従って生きている限り、そのアニメは自分の中に確かに居て、そうやって僕とアニメは繋がっていられるんだなと、強く思います。

 

少女☆歌劇 レヴュースタァライト 8話 『ひかり、さす方へ』

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 夏クール、僕のTLで台風の目となっていたレヴュースタァライトは、8話で最大瞬間風速を叩き出していたと思う。アニメはストーリー、音楽、映像などの諸々の要素から成り立っているが、ことレヴュースタァライト8話に於ける、画面のオシャレさ、映像のパワーは2018年に僕が見たアニメの中でもトップだと言える。

 オーディションで煌めきを奪われた神楽ひかりが、華恋との約束を助けにして、再び立ち上がる。原動力さえあれば、煌めきは何度だって再生産できる。そんなアニメが伝えてくる力強いメッセージは、同じく力強い映像と一緒になる事で、無限の説得力を得る。

 オルゴールの音色を背景にした華恋との回想から、武器の形態変化、第二幕の開演による反転攻勢の流れ。回想の時に流れていた曲が、今度はひかりが歌う曲のメロディとなって再び耳に入る。劇中のセリフは全部、レヴュー曲の歌詞になる。東京タワーが降ってきたり、一々カッコイイ演出やレイアウトがボンボン出てきたり、歌も流れている。とにかく情報量が多いけど、その全部が噛み合って一気に、そして綺麗に身体に流れ込んでくるというのは、滅多にできない映像体験だ。映像の迫力に圧倒されてる時の、やべぇ!!!という感覚がアニメを見ていて一番好きな瞬間なのかもしれない。

 そして、しっかり大場ななへのアフターケアも忘れてないのも、とても良きである*2

 

ゾンビランドサガ 2話 『I♡HIPHOP SAGA』

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  秋クールの序盤、僕のTLはゾンビランドサガを中心に回っていたと言っても過言ではない。完璧な情報統制の下で放送された1話の爆発力は凄まじい物があったが、そんな番外戦術を取らなくてもこのアニメには力があるという事を示したのが、この2話だったように思う。

 特にステージの上でのシーン。さくらとサキが言い合いになって、何故か徐々に韻を踏むようになって、何故か突然ボイスパーカッションが入ってきて、何故かラップバトルになる流れ。言い合いからラップバトルになるまでの一連の流れが綺麗な上に、いやに丁寧に描かれている。だが、その丁寧さとは裏腹に、『何故そこでラップなのか?』って事について一切の説明をしてないのが、めちゃくちゃ面白い。

 そんな、一見ぶっ飛んだ話をしてるように見える2話だけど、ラップバトルを通してサキがさくらを認めたり、各キャラの個性的な振る舞いや、キャラクターの心情の移ろいはしっかり描写されている。さくらがサキに送ったラップの内容も『私達の身体は腐ってるかもしれないけど、心が腐らない限りは死なねぇよ!』っていう作品の理念が込められてる。

 また、最後にさくらのラップの矛先が観客であるシルバー世代に向くのも、身体が腐ってるゾンビと、老衰で身体が思うように動かない老人たちを重ねた上で、同じメッセージを送っていて、筋の通った話になってて凄い。

 突拍子の無い話運びや、辰巳孝太郎という濃すぎるキャラクターを物語に擁しながらも、話の内容はゲラゲラと笑える諸要素に押し潰されないだけの強度があった。宮野さんの自由すぎる演技が、寒いの領域まで行かずに、面白いの領域でギリギリ留まれてるのは、話としての面白さがあってこそだし、偏に作品としてのバランス感覚が優れてる事の証なのだろう。

 

・うちのメイドがウザすぎる! 12話 『うちのメイドとこれからも』

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 ミーシャちゃんも可愛いけど、僕は森川さんが好きです。やってる事は犯罪みたいなギャグ描写や、ドMの家政婦のみどりんとか、攻めた表現が多くて楽しかった。その楽しい日々が、母親を亡くしたミーシャの心の傷を少しづつ癒していく、という話を1クール掛けて描いていた。

 そして、この12話はミーシャが、母親が居なくなった世界で生きてる事を当たり前のように感じてしまい、かつてはあった心の傷が無くなっている事を悲しむ話で。これは、大切だった物を失った時に心にぽっかりと空いてしまった穴を、別の大切な何かで埋めようとする物語の最後として、余りに誠実だった。

 自分の家に来たメイドのせいで、楽しい思い出ができて、失った母親の存在が自分の中でどんどん小さくなっている事を嘆くミーシャに対して、『それで良いんです。私も父を失って心に出来た大きな穴を、あなたという存在で埋めているのだから。』と返答する鴨居つばめ、好き過ぎる…。

 昔は大切だった物が、時間の経過や別の大切な物によって、相対的に大切で無くなっていく(と書くと、少し語弊がありそうだが)という事を、僕はしばしば体験する。そして恐らく、これはそんなに良い事ではない気がする。けど、そういう感情に『それで良いんだよ』と答えを投げ掛けてくれるアニメの、何と優しい事か。

 そして、ミーシャが部屋から出てくると共に、夜が明け、日が昇り、画面に鮮やかさが戻っていくのは美しかったし、そこからOP主題歌の2番を流すのも良かった。The 最終回みたいな構成が大好き。

 

・あとがき

 色々と書いてしまった。こう、いざ書いてみると自分の好きな話の傾向はあるのかなと思う。まず、可愛くてえっちなキャラが出てくるアニメは大体好き。その上で、暖かい話や優しさに触れられる話が好きっぽい事はあるかも。今年はそんなアニメが多かったのかな~と思ったりもする、それか自分が作品の持つ優しさに鋭敏になっただけかもしれない。

 あと、以外と僕はアニメから色んなものを受け取りながら生きてるんだなと感じた。それはパワーだったり、気持ちだったり、教えだったり。思っていたよりも、自分の中で生きているという感覚が強い。

 ここで選んだ10個のアニメ作品以外にも、今年はアニメ映画が凄く面白かった年だった。映画しまじろう、映画ポケモン、映画若おかみ*3、映画プリキュア、どれも良かった。そして、時間もあったので今年は過去の作品もかなり漁ったな~と思う。プリパラ 3rd season やバトスピブレイヴ、ガーリッシュナンバーや、灼熱の卓球娘など。何か書きたいなという思いもある。まだ見たい作品も結構残ってる。

 僕は来年から学生を卒業して会社で働く予定でいる。多分、今よりも自由な時間は限られてしまうけど、やっぱり頑張ってアニメは見ていきたいと現時点では思ってる。来年も今年と同じように、面白くて心に残っていく作品に沢山出会っていきたい。

 青ブタの13話が放送される前に、この記事を書き上げてしまう事に少しの申し訳なさを感じるけど、やるべき事が立て込んでいるので、このまま上げてしまいます。ここまで読んでくれた方はありがとうございました。2019年も素敵な作品に出会えると信じています。