ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

2021年にラブライブの新作アニメーションが見れる幸せ ~ラブライブ!スーパースター!! 第1話によせて~

突然ですが問題です。
Q. この世界に生きてて一番幸せなことって、な~んだ?
A. ラブライブの新作アニメーションに出会えること。

という訳でめちゃくちゃ面白いアニメが始まった訳ですが...。敢えてね、敢えて言わしてもらいますと、1話の時点では半ば想像通りのアニメがお出しされたなという印象です。というのも、今までのラブライブ!スーパースター!! の展開を見てきた者としては、一般公募オーディションを開き、センターにあの「伊達さゆり」を抜擢し、数々の生放送を重ね、「始まりは君の空」という素晴らしいMVを作って、その無観客生配信のリリースイベントで無敵のパフォーマンスを見せた、あのラブライブ!スーパースター!! が生半可なアニメを作る筈がないと言う、歪んだ信頼があったからです。最早めちゃくちゃ面白いアニメが作られるのは必然であったと思います。放送直前は流石に緊張しましたが、「どうせ超面白いアニメが始まるんだろ...」みたいな慢心も同時にありました。

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内容の話をしましょう。全体的な話から始めると、とにかく終始キャラが可愛いのとテンポが良すぎるの2点にまず目が行きます。圧倒的な京極イズムです。女の子を可愛く描くことに於いて、この人の右に出れる人は中々居ないと思います。表情のバリエーションが豊かなのですが、特に表情の崩し方、デフォルメが可愛くて、酒井さんの作るラブライブではない、京極さんの手がけている新しいラブライブなのだなと強く感じました*1。もう一つが異常なテンポです。1話の終盤には唐可可ちゃんがかのんをスクールアイドルに誘う感動的なシーンがありましたが、この2人が初めて出会ったのは現実の時間でたった20分前なんですよね。異常です。サンシャインで千歌が梨子と出会ってからスクールアイドルに迎え入れるまでに2話かけていますが、スーパースターはこれを1話の中に全部詰め込んでしまったかのような密度を感じました*2。物語の導入である世界観や設定の話を極力省き*3、飽くまでも可可ちゃんがかのんをスクールアイドルに誘うまでの話に終始していたのが印象的でした。

ライブシーンをはじめとした演出は従来のラブライブに比べるとかなり堅実だと思いました。無印1話で掲示板一面に廃校のお知らせが張り出されていたシーンのような大げさな演出は見当たりません。ライブシーンについても、5人の間には仕切りがあり*4分かりやすく現実離れしたシーンと、かのんが人前で歌っているシーンがあり、この2つの境目が曖昧になることもありませんでした。特に無印とサンシャインの1話のライブシーンはリアリティラインを落とした作りになっていたので、スーパースター1話のライブシーンの最後が劇中で起こっていたという事には驚きました。これに関しては今までのラブライブとは少し違うぞという意図と、今の時代に合わせた変化*5を感じました。

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キャラクターの話をすると、唐可可ちゃんが本当に良くデザインされてまいす。キャラデザや片言の日本語で喋る可愛さに加えて、スクールアイドルをする為に上海から一人で東京にやってくる行動力の高さと、初対面の人にも物怖じしない明るさも持っています。それでいて、ただ活発なだけでなく、かのんの過去を知った時には今までの行いを謝っていたように、他人の気持ちを想像出来る優しい子なのが好きです。個人的には可可ちゃんが優しい子だというのが、1話のキモだと思いました。可可ちゃんはかのんの中にスクールアイドルに誘われたくない気持ちが多少あることに気付いているけど、それでも「あなたとスクールアイドルがしたい」と告白するところにグッときてしまいます。

渋谷かのんの過去についても幾つか明らかになったので推測を交えながら話します。肝心な時に限って声が出ない事が描写されましたが、気になるのはいずれの時もかのんは一人で歌う必要があったことです。小学生の時の合唱ではクラスメイトから離れた位置で歌うことになり*6、結ヶ丘の受験の時も他の受験生の半歩前に立っていました。受験なので一人なのは当たり前ですが、試験官の人がわざわざ「独唱」という言葉を使っているのも一人であることを際立たせる為だったのかなと思います。さて、ここで思い出すのが始まりは君の空のMVです。このMVには渋谷かのんがセンターに立ち、4人と手を繋ぎながら一人で「怖くない」と歌うシーンがあります。...なるほど(鹿角聖良並の洞察力)*7。私にはこのシーンが、渋谷かのんが自分の過去を振り切ったことの証左に思えてなりません。隣に仲間が居れば渋谷かのんは一人でも歌える筈ですし、だからこその冒頭の「手を繋ごう*8」なのだと思います。

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結局書いてしまった...。細々とした感想はTwitterに適宜書くのが良さそうですね。こんな気持ちは2019年1月以来なので、出来る限り楽しみたいです。

*1:サンシャインはキャラの表情をデフォルメすることをアニメ内で出来る限り避けていた印象があった為。やってジト目までだった記憶がある。

*2:もちろんサンシャインの1話~2話は、サンシャインの世界がμ'sの居た世界と地続きであること、沼津の土地、千歌の生い立ち等、様々な要素を説明しているので、単純な比較はできない。

*3:結ヶ丘が新設校であること、音楽科と普通科があること等には触れていますが、学校でアイドルをすることが一般化した世界であることに何も触れてないのが凄い。

*4:ソーシャルディスタンスではない。

*5:主観ですが、リアリティラインの低いシーンがウケない時代なのかなと少し思います。

*6:恐らくソロパートもあったのでしょう。

*7:元ネタが分からない人は劇場版ラブライブ!サンシャイン!! で聖良が6人になったAqoursの練習を見るシーンを参照。

*8:1話から計算され尽くしてる感ありますよね。