ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

ラブライブっぽくないアニメが始まったな ~ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 1話のインプレッション~

クールが移り変わり新しいアニメが大量に始まる時、番組表を見て取り敢えず虹ヶ咲の声優が出てるアニメをチェックするのが世の常だと思います。前期であれば楠木さんが魔王学院の不適合者に、その前であれば前田さんが球詠、村上さんがミュークルドリーミーに、更に遡れば鬼頭さんが虚構推理、指出さんが恋する小惑星に出ていました。このように、虹ヶ咲のキャストがアニメに出演するのは1クールに1〜2人が通常なのですが、こと2020年秋クールに於いてはなんと9人全員がアニメに出演しており、しかもその9人がある一つのアニメで共演してるらしいんです…。えっ、ヤバ…これは奇跡…? そのアニメの名こそが『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』と言われるものであります。

始まりました。いや、始まってしまいました…『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のアニメ放映が。ラブライブ!サンシャイン!!の2期が放送された2017年秋から早3年、あの頃程の気負いは無いですが、それでも好きなコンテンツ、声優さんが一堂に会する(同好会だけに)この3ヶ月間は、お祭り騒ぎのような楽しさの裏で確かな緊張が走っています。虹ヶ咲を2年近く追ってきていますが、こんな気持ちは初めてです。面白く、そして楽しいアニメになるよう祈りつつ、感想のような物を書き残していこうと思います。

さて、前置きが長くなってしまいました。何から話しましょう。第一にラブライブを見ている気がしない、というのは強く感じました。絵柄がガラッと(相良ちゃんだけに?)変わっていますが、キービジュアルからも分かることなので、そこは割とすんなり自分の中に入っていきました。それよりも、例えば冒頭でOPが流れないことの方が遥かに驚きでした。無印1話もサンシャイン1話も冒頭1分半ほどでOPが流れます。サンシャインは μ's に憧れた少女達の物語という性質上、話の全体的な構成を無印に寄せており、冒頭でOPが流れるのもその為だと思われます。一方で虹ヶ咲の1話ではOPが流れなかった。CGをサブリメイションさんが作り、ED(と恐らくOP)の作詞を畑亜貴さんが手がけ、音響監督に長崎さんが就いている。ラブライブっぽい要素はそこら中に散らばっているのですが、1話の冒頭でOPが流れない、たったこれだけで、私が『あっ、このアニメは今までのラブライブとはどこか根本的に違うのかもしれない』と思うのには十分でした。

もう一つ上げるなら、作劇にわざとらしさが無い事です。サンシャイン1話では特に顕著でしたが、例えば千歌がルビィの手に触った途端に『ピギャァーーー!!』と叫んだり、スクールアイドルに誘った梨子にごめんなさいと断られた時に千歌が『えぇー!?』と驚いたり、これでもかとオーバーなリアクションを取るのがラブライブの作劇、もとい演出の特徴だと思います。13話の中で9人のキャラクターを立たせ、見せ場を作る手段として無印やサンシャインではよく使われていました。ですが、虹ヶ咲のアニメにはロマンチックな演出こそあれど、キャラクターを立たせる為の誇張された表現は無いように感じました。やっぱり、無印やサンシャインの持つあの独特なテンポや雰囲気は中々出せません。

さてさて、前述の『ラブライブっぽさ』はスーパースターに求めるとして、虹ヶ咲のアニメを見ていきます。今回は歩夢ちゃんの話です。スクスタでは何の紆余曲折もなく同好会に入った歩夢ちゃんの話に肉付けが行われました。初見の時は歩夢ちゃんがスクールアイドルがやりたい!と打ち明けるのシーンが唐突にやってきた印象を受けましたが、見直すと歩夢ちゃんが待ち合わせ場所で欠伸をしていたり、ピンク色の服を見つめていたりと、目立たない所で確かに歩夢ちゃんの気持ちも揺れていたのだなと感じました。そこからシームレスにライブシーンへ。1話の最後はライブで締めるラブライブの作法にこそ則っていますが、壮大な物語の幕開けを予感させるライブであった無印とサンシャインに対して、このライブは歩夢ちゃんの内面を映像で直接描いたPVのような物になっていました。いや、無敵級や未来ハーモニーを見ても感じますが、虹ヶ咲はこの手のPVを作るのがめっちゃ上手いですね…。埋立地に作られた駅や街、巨大な橋などの建造物、人工的に作られた自然と砂浜、お台場という街には計画的に作られたが故の無機質な感じがある気がします。僕は多分この無機質な街と、そこで感情を露わにしながら生活する少女の組み合わせが何となく好きなのだと思います。

ラストシーンの他に1話で特筆すべき点があるとしたら、それはせつ菜の CHASE! でしょう。いや、こんなの見せられたら流石に泣いちゃう…。だって、せつ菜の CHASE! を見て『ヤバい!』となる侑ちゃんの気持ちに身に覚えがあり過ぎるんですよ。今でこそライブでは当たり前になっているラスサビのシャウトですが、CHASE! が初披露された校内マッチングフェスティバルで、せつ菜もとい楠木ともりさんが『ほら輝き出すんだ』を口に出さずに、シャウトを始めた時の衝撃と感動を私は知っています。知っちゃってます。不思議と CHASE! の演出も大袈裟には感じませんでした。少なくとも私がせつ菜のライブを見ている時、楠木さんの歌声を生で感じている時、そこには莫大なエネルギーのやり取りがあるし、心の中には炎が激しく灯っています。シャウトが終わった後の気持ちようさそうな表情も含めて、せつ菜のライブそのまま、そのままでした。因みに、ライブがフェスティバル広場で15時に開演というのは2018年に行われたODAIBA TOKIMEKIステージの名残でしょう。小ネタも沢山ありましたが、それはまたいつか書くとします。

長々と綴ってしまいました…。1話でこういうアニメなんだなと分かったので、2話はサクッと見れそうな気がします。かすみんはスクスタだと良い子ちゃんに描かれがちなので、ゲスな一面をよく見せてくれるアニメの造形はかなり好きです。虹ヶ咲のアニメが面白いものになるよう、またかすみんがしずくの上履きにコッペパンを入れてくれるように祈りながら、この先も見守っていきたいですね。あゆぴょんだぴょん。

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