ギャン・バギャム・ソルドン

一打粉砕に怒喝の心力を込め、万物を叩き割る剛剣の刃を生み出さん

2023.8.20 声優アイドルについて

次の文章は私がとある場所に寄稿した、追っている声優アイドルについて2グループほど紹介した文章です。記事の作成に当たっては、声優アイドルを全く知らない方にはその概要が何となく伝わるように、知っている方には少しニッチな情報と私の解釈が届けられるように意識しています。以下、本文です。

 

  1. DIALOGUE+

「DIALOGUE+」とはポニーキャニオン発の声優アイドルユニットです。元々はスマートフォン向け声優育成ゲームである「CUE!」からメンバーを8人選抜して生まれたユニットですが、今ではCUE!の枠から飛び出して様々なアニメの主題歌等を歌っています。ちなみに「CUE!」は2022年にアニメ化されており、ここ10年で様変わりした声優という職業の現在を色々な視点から描いた名作です。少なくともファン目線から見たアニメ・声優業界の今を知るにこれほど適した作品もないでしょう。デビューは2019年10月頃、デビューシングルである「はじめてのかくめい!」をリリースします。この曲は「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!」の主題歌となっており、以降Project No.9制作のアニメーションにDIALOGUE+の主題歌ありと言われるくらい、代名詞的存在になっていきます。ですが最近はうって変わって「久保さんは僕を許さない」「カワイスギクライシス」など、制作会社を選ばずにタイアップしている印象です。

さて、ここまで沿革について長々と話してしまいました。ずばりDIALOGUE+の魅力はと問われたら、素敵な楽曲と精力的なライブ活動、この2点に尽きると思います。…文字に起こすとなんてことは無いてすね。正直好きなアーティストを好きな理由なんて「この人の作る音楽が好き」以上のものは無いでしょう。ただ音楽に力が入っていることは何となく感じることが多いです。音楽面のプロデュースはUNISON SQUARE GARDENのベーシストでお馴染み、田淵智也さんが行っています。特に2021年にリリースされたアルバム「DIALOGUE+1」は名盤です。メンバーは声優なだけあって可愛らしくも特徴的な声を持っているのですが、この「DIALOGUE+1」にはオシャレなバンドサウンドと透き通るような声が溶け合った先で生まれる不思議な音楽が詰まっています。

ライブは毎回全力です。不定期ではありますがワンマンライブやフェスへの出演を精力的に行っています。もちろんライブアイドルほど頻繁には行えませんが、声優の仕事と並行しながらこなす回数としては破格です。ライブには毎回生バンドが付いて、音源からのアレンジや楽曲同士の繋ぎに唸ることが恒例となっています。肝心のライブですが…、狂ったように手を叩いて叫んで踊って泣いていたらあっという間に終わります。声優さんが居て、素敵な音楽があって、それに合わせてクネクネ踊って、訳も分からず笑って泣いて、これ以上の幸せはないでしょう。自分の中にあるもの全てをデトックスできます。

 

  1. 星見プロダクション

「星見プロダクション」(以下、星見プロ)とはメディアミックスプロジェクトである「IDOLY PRIDE」(以下、アイプラ)から生まれたユニットです。星見プロの話をするにはまずアイプラの話をする必要があります。アイプラは前述の通りアイドルを題材としたメディアミックス作品です。アニメや漫画に加えて、スマートフォン向けゲーム、ラジオにリアルでのライブ等の展開があり、一般的には2.5次元アイドルものと称されることが多いです。この2.5次元アイドルものにはラブライブアイドルマスターなど、息の長い作品が未だに根強い人気を博していますが、アイプラはプロジェクト発足から4年も経っていない比較的新しい作品と言えます。つい先日行われたライブでは幕張メッセ2daysのチケットを捌き切っており、いま最も熱いアイドル作品と言っても過言ではないでしょう。

星見プロには10人のメンバーが居ますが、普段は5人ずつに分かれてサニーピース/月のテンペスト(以下、サニピ/月スト)としても活動しています。この2つのユニットはお互いをライバルと認め合い切磋琢磨していく仲間として描かれます。サニピはマウスプロモーションなどの各声優事務所からオーディションでキャストが選ばれ、月ストはミュージックレイン(以下、ミューレ)の3期生がそのキャストを務めます。ミューレと聞いてピンと来た方も居ると思いますが、スフィアやTrySailが所属している事務所です。つまるところ、アイプラはミューレの新人声優を売り出す為に、サイバーエージェントとストレートエッジがタッグを組んで作ったアイドル作品です。新人声優である10人が活動の中で様々な経験を積み、花開いていく姿を間近で見守ることができるのは魅力の一つと言えるでしょう。

アイプラについて語るにあたって、その物語に言及せずにはいられません。スマホゲームのシナリオを原作としたアニメが2021年の冬クールに放送されています。アニメーション制作はLerche、監督は「あそびあそばせ」「ワールドダイスター」等で知られている木野目優さんです。かつて伝説のアイドルと謳われた少女、長瀬麻奈の事故死と、その後を継ぐ2人のアイドルの存在が物語の骨子です。主要キャラクターが多数登場するアイドル作品としては珍しく、キャラクターひとりひとりのお当番回を用意せず、あくまでも長瀬麻奈の死が今を生きるキャラクターにもたらした葛藤や後悔に焦点を絞った作劇をしているのが本作の特色です。私はこのアニメが大のお気に入りで、良いところを挙げれば正直きりがないです。強いて、強いて一つ挙げるなら、「ねぇ 偶然ってなんだっけ 必然ってなんだっけ 君と居ると分からなくなるよ」という素敵で、この物語の因果を全て引き受けたようなフレーズが最終話で歌われることです。素晴らしい。

少々話がズレましたが、星見プロとは即ちアイプラの世界から飛び出してきた声優アイドルグループという訳です。そのライブでは、物語を感じさせてアニメの世界に誘うような楽曲が歌われることもあれば、声優アイドルらしくわちゃわちゃと、会場が沸き上がるような楽しい楽曲が歌われることもあり、現代のアニメ・声優ライブらしくレパートリーは幅広いです。何が魅力かと言われると非常に難しいですが、2次元ないしアニメで描かれた虚構の物語を、丹精込めて3次元に起こそうとする姿勢、またステージの上で生身の人間が様々なシーンを演じ直す営みそのものが尊いと感じます。主演となっている方々は私より若く、そんな人たちが作品の名前を背負ってステージに立つ姿には畏敬の念を抱くと同時に、単純に「自分より若い子たちが立派にやっているのだから、少しは頑張らないとな」という気持ちにさせられます。この感情は日々を生きていく上で欠かせないものです。

過去のライブでは面白い取り組みも見られ、特に2022年9月に行われたIDOLY PRIDE×八景島シーパラダイスコラボイベントは異彩を放ちます。と言うのも、八景島シーパラダイスのある金沢八景周辺はこの作品のモデルとなっており、まさに聖地とも呼べる場所でライブが行われたからです。さらにライブ会場は水族館内のイルカショーをするステージで、声優さんが音楽に合わせて歌って踊っている傍らで普通にイルカが泳いでいるしジャンプもします。お恥ずかしながらこの趣味をそこそこ長く続けていても、声優のライブとイルカショーを同時に見れるイベントには中々お目に掛かれません。今でもファンの間では良かったと語り草になっているライブです。

これまでも沢山の素敵な景色を見せてもらいましたが、きっとこれからも素晴らしい景色を見せてくれることでしょう。2023年末から2024年初にかけては初の全国Zeppツアーも決定しており、その活躍からますます目が離せません。

 

以上。